教育資金の一括贈与は使い勝手がよろしくありません。

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合には、1500万円までは贈与税が課税されないという非課税の規定が設けられています。

 

この非課税の規定の適用を受ける場合には、

①贈与をする者は、贈与を受ける者の直系尊属であること

②贈与を受ける者が30歳未満であること

③教育資金管理契約に基づき、一定の方法により教育資金を贈与すること

が必要です。

 

教育資金管理契約に基づいて一定の方法により教育資金を贈与することとは、要するに直接直系尊属に教育資金を贈与する事は認められていないということです。直接子供や孫に1500万円を贈与して非課税の規定が適用されてしまうと、教育資金以外に使っても分かりません。

 

それを防止するために、とりあえず銀行等に預けて必要な都度、必要な額を引き出して教育資金に充てることになります。

その贈与を受けた者が30歳になったときに、まだ教育資金が残っているとその残額は贈与税の課税の対象になることも併せて注意が必要です。

 

扶養義務者相互間における教育資金の贈与は、必要な都度、必要な額の贈与であれば教育資金の一括贈与の規定を適用しなくても非課税の規定が設けられていますので、一括贈与の規定を適用する場合には十分に考えてからにしましょう!

贈与者より先に相続時精算課税適用者が死んだ場合

相続時精算課税の規定を適用して贈与を受けた場合、その贈与は必ず相続時に精算されます。

通常の暦年贈与の場合には、相続開始前3年以内に贈与により取得した財産は相続の際に合算して計算されますが、3年以上前に贈与でもらった財産は相続税の計算には関係させません。

 

しかし、相続時精算課税の贈与により財産を取得した場合には、たとえ3年以上前の贈与であっても必ず相続の際に合算して計算します。では、贈与者より先に相続時精算課税適用者が死亡した場合には、一体どうなるのでしょうか?

 

具体的な事例で考えてみたいと思います。

父から相続時精算課税により財産を贈与したAさんが父より先に死亡した場合、もしAさんに配偶者や子供がいる場合には、その配偶者や子供に相続時精算課税の権利及び義務が承継されます。

 

奥さんや子供がいない場合はどうでしょうか。

Aさんのお母さんが健在である場合には、お母さんに相続時精算課税の権利及び義務が承継されます。

 

では、奥さんも子供もお母さんもいない場合はどうなるでしょうか。

本来であれば、お父さんに相続時精算課税の権利及び義務が承継されるのですが、お父さんからもらった財産なのに、お父さんに承継されるというのはおかしな話になってしまうので、この場合には誰にも権利及び義務が承継されないこととなるのです。

相続時精算課税には特例があります。

相続時精算課税の規定を使って贈与を受けようと考えていた場合において、平成26年までは65歳以上の直系尊属からの贈与にしか適用できませんでしたが、平成27年からは65歳から60歳に年齢が引き下げられました。

 

しかし、60歳未満の直系尊属からの贈与でも相続時精算課税が適用できる特例があるのをご存知でしょうか?

住宅取得のための金銭を贈与した場合には、贈与者の年齢要件はありません。

50歳の両親からでも、40歳の両親からでも、住宅取得のための金銭の贈与を受けた場合には相続時精算課税の規定の適用を受けることができます。

 

受贈者は20歳以上でなければならないという受贈者側の年齢要件はこの特例にもありますが、贈与者側の年齢要件はこの特例の規定にはありません。

 

これは、住宅取得等を容易にするとともに住宅建設を促進するために設けられた特例であり、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその全額を住宅用家屋の対価に充てて、同日までにその住宅用家屋に居住すること必要があります。

 

 

贈与税の配偶者控除

配偶者間で一定の財産を贈与した場合には、一定の額まで控除される制度があります。

これを贈与税の配偶者控除といいます。

 

そもそも、どうして贈与税の配偶者控除の規定があるかというと、

①夫婦財産の形成は夫婦の協力によって得られる

②夫婦間における財産の贈与については、贈与という観念が薄い

③夫婦間の財産の贈与は、生存配偶者の老後の生活保障を意図する

というような趣旨で設けられている制度になります。

 

どんな夫婦でも、どんな財産でも適用があるわけではありません。

①婚姻期間が20年以上である配偶者からの贈与

②居住用の不動産又は居住用不動産を購入するための金銭の贈与

上記の要件を満たした贈与のみ適用があります。

 

同じ配偶者からは1度しかこの規定は適用できないので、過去に受けたことがある場合には適用できません。再婚して上記の要件を再度満たせば2度適用できることになります。

 

控除額は最大で2000万円なので、2000万円以上の居住用不動産を贈与してもらった場合には、2000万円を超える部分については贈与税の対象となります。

確定申告はどこまで正確に計算するのでしょうか?続き

先日、チェックが細かすぎると指摘を受けた件ですが、無事に解決しました。

 

要するに、時間チャージを考えたほうが良いというアドバイスでした。支払う報酬が少ないんだから、細かいことを気にしてたら合わなくなるよ。もっと自分の時間チャージを考えたほうが良いよということでした。

 

毎月決まった金額の給料をもらって働いていると、クライアントからの報酬と自分の労働に対する対価が合っているかどうか考える気持ちが薄れてしまっていました。

 

私は、細かい数字をきっちり合わせてこそ正確な決算書が作成でき、それがその方の事業内容をしっかり把握できると思っていましたが、実際には違っていました。

 

その事業の方向性のような大きな視点で考えることをせずに細かい数字合わせに気を取られていました。

 

今日会うまでは、できれば会いたくないなぁと心の中で思っていた自分を反省するとともに、私のために言いづらいことを言ってくれたことを本当にありがたく思います。

退職金をもらった場合にも相続税の非課税規定があります。

以前、生命保険金を取得した場合には相続税の非課税の規定があることをご紹介しましたが、退職金をもらった場合にも同様の相続税の非課税の規定があります。

 

退職金は被相続人が勤めていた会社から支給されるものであり、被相続人の本来の財産とは厳密にはいえないのかもしれませんが、実際は被相続人が長年その会社で労働したことに対して支給されるものであるため、相続税の対象となる財産として課税されます。

 

この退職金ですが、相続人が取得した場合には一定額まで非課税として相続税が課税されません。一定額は、法定相続人の数に500万円を乗じた金額になります。

法定相続人が3人であれば、500万円×3人=1500万円までが非課税になります。

 

ただし、退職金であればこの制度が使えるわけではなく、死亡退職金に限ります。

被相続人の死亡前に支給された生前の退職金に対しては非課税の規定はありません。

さらに、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定しなかったものについても同様に非課税の規定はないので注意が必要です。

 

被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金で、相続人が取得した場合のみの規定になります。

確定申告はどこまで正確に計算するのでしょうか?

毎年確定申告でお世話になってる方からご指摘を受けました。

 

不動産賃貸業を営まれている方で、確定申告で年に一度のお付き合いの方ですが、細かすぎると。。

副業で不動産賃貸業を行っているのですが、私からの確認事項が細かすぎて回答するのが負担だと。相手の都合を考えずに色々と確認したい点を投げかけてしまったことは配慮が足りなかったと反省すべきですが、だからといって適当にやればよいということではないはずと思ってます。

 

報酬を頂いているからには正確な決算書を作成したいと思うし、今後の不動産経営に活かせるような決算資料である必要があると思っています。配慮が足りなかった点は反省しつつ、今後も正確な決算資料を作成していきたいという思いを強くしました。